裏側は、水の物性の国際標準式(IAPWS-95)をオープンソースの計算ライブラリ(CoolProp)で事前に計算して早見表にした後、それをHTMLに埋め込んでブラウザ上で補間表示しています。重い物理計算は「作るとき」に一度だけ済ませ、「使うとき」は表を引く(補間する)だけなので軽い。計算サーバーは不要でブラウザ内だけで完結します。
| 段階 | 処理 | 使用 |
|---|---|---|
| ① 事前計算 | 温度×密度の多数の組合せで圧力・相を計算し早見表(JSON)化 | Python + CoolProp(IAPWS-95) |
| ② 埋め込み | 早見表+描画+表示プログラムを単一HTMLに同梱 | build.py |
| ③ 表示 | スライダー入力に対し早見表を補間して即時表示(計算なし) | JavaScript / Plotly.js |
早見表は 温度 476 点 × 密度 590 点 = 約 280,000 点(280,840点) の圧力値と、各温度の飽和テーブル(飽和蒸気圧・飽和液/蒸気密度)・臨界点ノットから成る。手計算の蒸気表が数十点なのに対し、本ツールは約28万点を事前計算して保持しているため、補間の根拠が密で信頼性が高い。
| T\ρ (kg/m³) | 50 | 200 | 500 | 997 |
|---|---|---|---|---|
| 100 ℃ | 0.101 | 0.101 | 0.101 | 92.58 |
| 200 ℃ | 1.555 | 1.555 | 1.555 | 288.6 |
| 300 ℃ | 8.588 | 8.588 | 8.588 | 506.8 |
| 400 ℃ | 12.52 | 26.40 | 37.24 | 726.4 |
| 500 ℃ | 15.53 | 42.98 | 91.00 | 940.3 |
読み方:低温(100–300℃)で ρ=50/200/500 が同一圧力なのは気液二相域(圧力=飽和蒸気圧 P_sat(T) で、密度=充填量によらず温度のみで決まる)。右端 ρ=997 は圧縮液で高圧。臨界温度(374℃)超の 400/500℃ は単相で密度とともに圧力上昇。実際のツールはこの格子の点と点の間を相境界をまたがずに補間して連続表示する。
| 流体 / CAS | 水 / 7732-18-5 |
| 状態方程式 | IAPWS-95(Wagner & Pruß, 2002), CoolProp 7.2.0 実装 |
| 臨界点 | T_c = 373.946 ℃ / P_c = 22.0640 MPa / ρ_c = 322.000 kg/m³ |
| 室温密度 ρ_room | 997.048 kg/m³(25℃, 1atm)/ 選択肢 1000(1 g/mL ≒ 約4℃) |
| EOS妥当範囲 | T ≤ 2000 K(CoolProp実装上限。IAPWS-95検証範囲は1273 K)/ p ≤ 1000 MPa |
| 温度軸 | 25–500 ℃、1℃刻み(476点) |
| 密度軸 | 5–1000 kg/m³、非一様(5–250:5 / 250–600:2.5 / 600–1000:1)(590点) |
水の IAPWS-95 は非常に高温(検証範囲 1273 K ≒ 1000℃)まで妥当なため、反応域を含む 25–500℃ は余裕で範囲内。(参考:メタノール版は参照式の上限が低く 340℃ で打ち切る。同じ作りでも使える温度上限はEOSの適用範囲で決まる。)
室温密度は「室温で量った液量(mL)→質量」の換算係数。封入後は質量一定(等容)なので、入れた時点の密度だけ要り、高温での密度変化はEOSが担当。997=25℃実測、1000=1 g/mL(≒約4℃の水)。実際の測定温度・慣用に合わせて選べる。この選択は物性グリッドに無関係=再計算不要で表示値のみ即更新。
表示は純水成分のみの平衡圧。初期ヘッドスペース気体・反応生成ガス・容器熱膨張・溶質や木材由来成分は含まない=総圧でも安全設計値でもない。
臨界点(374℃)近傍・極低圧(T<100℃の高充填)域の相・気液量は参考値。設計用途には安全率と実ガス分を別途見込むこと。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 何で圧力を計算? | 等容系の仮定で、温度と全体密度を状態方程式(CoolProp/IAPWS-95)に入力。二相域は飽和蒸気圧。 |
| 充填量から何を出す? | 室温密度をかけて質量に直し、容器体積で割って全体密度 ρ。これが状態を決める。 |
| 二相で圧力が充填量に依らないのは? | 相律で自由度 F=1 になり(温度を決めれば圧力も決まる)、温度が圧力を固定(P=P_sat(T))。充填量は気液の量(てこ比)に効くだけ。 |
| 精度は? | CoolProp直接計算を参照値に補間誤差を検証。操作域 p95≈0.05%、全域0.72%未満。EOSの絶対精度ではなく実装の補間精度。 |
| なぜ約28万点も? | 相境界付近や圧縮液域は圧力が急変するため、密な格子で補間誤差を抑えるため。手計算の蒸気表より遥かに密。 |
| 安全設計に使える? | 不可。純成分平衡圧であり、反応・生成ガス・溶質を含む総圧ではない。 |